お話その2
植物性?動物性?
ベジタリアンが気になる乳酸菌の属性とは。
牛乳以外の場所にもいます
乳酸菌と聞くと、牛乳由来のものだと思いがちです。名前に「乳」という字が入っていますし、牛乳を発酵させてヨーグルトやチーズを作る乳酸菌が一般的に有名だからです。
しかし植物から由来した乳酸菌もたくさんいます。それらは植物性のものをベースとした発酵食品、例えばお漬物やキムチなどを発酵させる乳酸菌です。
動物でも植物でもなく菌類
乳酸菌について調べたことのある方なら「動物性乳酸菌」「植物性乳酸菌」という呼び方を聞いたことがあるかもしれません。
厳密に言うと、乳酸菌は「菌類」なので、動物でも植物でもありません。
ただ、動物性のものー例えば牛乳や、動物の消化管の中などーに存在する乳酸菌を「動物性乳酸菌」、植物性のものー例えばお米や漬物などーに存在する乳酸菌を「植物性乳酸菌」と便宜上分けて呼ぶこともあります。
ベジタリアンの方など、乳酸菌が動物か植物かで悩まれる方もいらっしゃいますが、実際にはどちらでもなく、存在している環境も動物由来もあれば植物由来もありバラバラです。
動物由来と植物由来の違い
では動物由来のものにいる乳酸菌と、植物由来のものにいる乳酸菌はどう違うのでしょうか。
例えばヨーグルトは、牛乳の中に存在していた乳酸菌で発酵させることが一般的ですが、その乳酸菌にとって牛乳というのは大変居心地が良い場所です。
牛乳は牛の赤ちゃんが飲むものなので、栄養が豊富で、安全な飲み物です。乳酸菌にとってもそれは同じで、生育する上で簡単に栄養をとることができ、敵の菌もいません。
かわってお漬物などの乳酸菌はどうでしょうか。この乳酸菌は原材料である野菜などにもともと生息していた乳酸菌です。
しかし植物の表面は菌たちにとって大変過酷な環境です。菌は植物の繊維質が何かで傷つかないと栄養を得ることができない上、植物からの抗菌物質に攻撃を受ける場合もあります。また自分たち以外にも様々な菌がいる環境下で、常に生存をかけて競争しています。
このように育ってきた環境が全く違いますから、たとえば牛乳からとった乳酸菌でお漬物を作ろうとしても、うまくはいかないそうです。
植物というのは様々な種類があるので、乳酸菌が存在する環境も千差万別です。従って環境に合わせて菌の種類や能力も、植物由来の方が多様化していると考えられています。
現在発見されている乳酸菌のうち動物由来はごく少数派で、ほとんどが植物由来の乳酸菌なのだそうです。
何に由来するか?で乳酸菌を見る
今スーパーなどで手に入りやすい乳酸菌は、牛乳由来の乳酸菌で発酵させたヨーグルトです。
しかし私たちアジア人は腸の長さの特徴から植物性の食品を食べていた歴史が長いと言われており、従って乳酸菌も植物由来の乳酸菌との縁が深いと言えます。
お漬物などにいる乳酸菌は、長い間私たち日本人の健康維持に役立ってきたということです。
今は家庭でお漬物を漬ける習慣は少なくなりましたが、乳酸菌を「何に由来する乳酸菌か」という目で見てみると、視点が広がって面白いのではないでしょうか。

アレルノン食品が使用している乳酸菌は、地元の発酵食品である「なれずし」から取り出した乳酸菌です。「なれずし」は日本に古来からある、お米を使った漬物です。
この文化は弥生時代に日本に伝わったとみられる記述もあります。ラオスなどアジアの国々には今も、日本のなれずしと同じようなお米を使って食材を乳酸発酵させる文化が残っています。
お米の乳酸菌は、昔からアジア人にとって大切な菌であったということでしょう。

昔から日本人の健康を助けてきた植物由来の乳酸菌。彼らを守り育てていくことに、楽しさと使命を感じています。
参考文献:
日本乳酸菌学会誌 2002年13巻1号23-36「 植物性乳酸菌世界 とその秘める可能性」著 : 岡田 早苗
山ライン